2021.1.1(金 祝) 14:40〜 天皇杯 決勝 川崎F@国立
[プレビュー]三度目の正直でガンバ復権へ。5年ぶりのタイトルを賭けて川崎との大一番に挑む
コロナ禍の中で常勝軍団の復権に向けて、確かな足がかりを作ってきたガンバ。2020シーズンの締めくくりであると同時に、新時代への大一番となる天皇杯の決勝では、ガンバにとって最高の相手が待ち受けている。
「自分たちを奮い立たせるには十分すぎるほどの材料。何としても決勝で借りを返す」と準決勝後に言い切った宇佐美の言葉はガンバに関わる全ての人が共有する思いである。
アウェイのリーグ戦では川崎との直接対決で敗れ、目の前でライバルの歓喜を見せつけられたガンバ。しかし、「天皇杯でリベンジ」を合言葉にリーグ戦で2位を死守し、天皇杯の準決勝では難敵、徳島に快勝。5年ぶりとなる元日決戦の切符を総力戦で掴み取った。
「チーム全員が関わってここまで来られた大舞台」と三浦が話す天皇杯の決勝は、ガンバが5年間遠ざかってきたタイトルを手にする最後のハードルである。
異例の過密日程の中で、サポーターやスポンサーなど様々な方に支えられながら戦っていることを改めて噛み締めたガンバだが、今回の天皇杯のタイトルはユニフォームの胸に10個目の星を刻みつけるだけでなく、強いガンバが帰ってきたことを見せつける格好の場でもある。
「ガンバは今、変化の時期で選手も入れ替わっている。ここでタイトルを取ることでさらに大きなクラブになれる」(倉田)。
常勝の記憶とプライドを持つ背番号10が口にするように、宮本ガンバが更に飛躍する上で欠かせない初タイトルだが、攻守両面で積み上げてきた今季のスタイルで川崎に真っ向からぶつかるのみである。
リーグ戦では今季いずれも完封負けを喫している上に、11月には0-5で敗戦。しかし、リスク覚悟で攻めざるを得なかったアウェイの戦いと異なるのが一発勝負の今回の顔合わせだ。
宮本監督も言う。「2回負けている反省も活かしながら試合に入りたいが、前の試合とは性格が違うところもある」
クラブ史上初の天皇杯制覇に加えて今季で引退する中村のラストマッチを飾るべく燃えてくるであろう川崎ではあるが、この試合に賭ける思いはガンバもそれ以上のモノを持っている。
家長や三苫、レアンドロ・ダミアンら警戒すべき選手は数多いが、宇佐美と小野瀬が戦線復帰したガンバも個の質と要所にいるキーマンたちの経験値ではまったく引けを取っていない。
「守備をする時間は長くなる。そこでどれだけ粘れるか」(三浦)。
粘り強い守備をベースにしながらも、リーグ戦終盤や準決勝で見せた鋭く、速いショートカウンターで川崎のゴールをこじ開けるのみだ。
延長戦だろうとPK戦だろうと求められるのは勝利のみ。「今年、色々なことがあったのでその思いも乗せてしっかりと勝って全員で喜びたい」と倉田は言い切った。
元日の国立競技場で、ガンバが復権を果たす時が来た。
ハーフタイムコメント
・慌てず最後まで身体を張って集中力を高く守ること。
・相手のプレッシャーを掻い潜って厚みのある攻撃につなげよう。
・粘り強く守らないと勝てない。最後の質で上回ろう。
第100回天皇杯 決勝 ●0-1 川崎F@国立

新型コロナウイルスが猛威をふるった2020年。リーグ戦中断、無観客試合、過密日程など様々なハードルを乗り越えながら逞しく成長を続けたガンバの今季ラストマッチは元日の国立競技場、天皇杯ファイナルの舞台だ。「本当にいろんなことがあって苦しんだシーズン。笑顔で終われるようにしたい。」と倉田が話すように、苦しい時にクラブの活動を支援しサポートいただいた全ての方への感謝を胸に、2015年以来となるタイトル奪取に挑む。対するのは今季J1リーグを圧倒的な力で制した絶対王者・川崎フロンターレ。リーグ戦では今季2戦2敗、とりわけアウェイでの対戦では0-5と完敗を喫し、目の前でシャーレを掲げる姿を見せつけられた因縁の相手。その日から天皇杯決勝でのリベンジを誓い、この日のために準備を続けてきた選手たちは強い想いを胸にこの試合に臨む。宮本監督はこの大一番でFW宇佐美を先発起用。2014年、15年と決勝ゴールで天皇杯連覇に導いた相棒・パトリックとの2トップをピッチに送り出す。
試合は2分、川崎F・田中がDFラインの背後に抜け出しこの試合最初のシュートを放つがこれは枠外へ。対するガンバも直後の3分、右サイドでパスを受けた倉田がクロスを入れるが、これは川崎F・GKチョン
ソンリョンがキャッチ。両チームともに立ち上がりからすぐに相手ゴールに迫るアグレッシブな試合への入りを見せる。6分、左サイドでFKのチャンスを得ると宇佐美のキックにパトリックが頭で合わせゴールネットを揺らすも、これはオフサイドの判定でノーゴールに。15分、ペナルティエリア内でボールを受けたレアンドロ
ダミアンに切り返しからシュートを許すが、これは東口がガッチリとキャッチ。直後の16分にも自陣ゴール前でパスの乱れを突かれ川崎Fにボールを与えると、三笘に至近距離からシュートを放たれるが、このシュートは枠を外れ難を逃れる。22分、ジェジエウの浮き球のパスからレアンドロ
ダミアンのヘディングシュートは東口がセーブ。そのすぐ後にも再びペナルティエリア内でボールを受けたレアンドロ
ダミアンにバイシクルでシュートを放たれるが、これは枠外へ。続け様にレアンドロ
ダミアンが積極的にシュートを放ってくるが、ガンバのDF陣もしっかり身体を寄せ満足な態勢でシュートは許さない。26分、川崎Fに細かくパスを繋がれペナルティエリア内に侵入を許すと、右サイドのクロスを最後は家長にヘディングで狙われるがこのシュートもわずかに枠外。決定的な場面だったが相手のシュートミスに救われ失点を免れると、反撃に出たいガンバも28分、右サイドからのクロスをパトリックが頭で狙うが枠を捉えることはできない。その後も川崎Fがボールを握る展開が続き、守備に回る時間が長くなるガンバ。川崎Fに何度も危ない場面をつくられるものの、GK東口を中心とした守備陣が集中した守備で失点を許さず0-0の時間が続く。前半を何とか凌いだガンバが、そのまま無失点で前半を終えスコアレスのままハーフタイムへ。
ハーフタイムに宮本監督は「粘り強く守らないと勝てない。最後の質で上回ろう」と指示を送り後半へ。ガンバ、川崎Fともに選手交代なく後半のキックオフ。後半も変わらず川崎Fの時間帯が続くと55分。レアンドロ
ダミアンのパスから、三笘にパスが渡ると、スピードを活かしたトラップからのタッチで��尾を交わし抜け出す。GK東口が間合いを詰めるが、三笘がGKの動きを見て冷静に放ったシュートがサイドネットに吸い込まれ失点。粘り強く守っていたガンバだったが、一瞬の隙を突かれ川崎Fに先制を許してしまう。1点を失ったガンバだが、直後に訪れたピンチの場面。川崎FにFKを与えると、キッカー田中のキックから谷口にヘディングシュートを許すが、これは東口がビッグセーブを見せこれ以上の追加点は許さない。1点を追いかけるガンバは、73分に交代カードを切り2枚替え。山本と藤春を下げ渡邉と福田を投入。攻撃的な交代策で同点ゴールを狙いに行く宮本監督。75分、カウンターから家長に右足でミドルを許すが、東口が弾き出す。
78分にも家長にカットインからシュートを放たれるが、このシュートは枠を逸れる。79分、川崎Fもこの日最初の選手交代。得点と挙げた三笘と、度々ガンバゴールを脅かしていたレアンドロ
ダミアンを下げ、小林と長谷川がピッチに。対するガンバも81分、小野瀬に替え塚元を投入。若い選手を起用し、中盤の活性化を図ると1点を追うガンバがここから意地を見せる。82分、藤春のクロスにパトリックが頭で合わせるがGKチョン
ソンリョンにセーブされる。直後にはGKがこぼしたボールをパトリックがキープすると、最後は渡邉が詰めるが、ゴール前に戻った川崎F・DF谷口がクリア。85分には波状攻撃から最後は宇佐美が左足で鋭いシュートを放つが、川崎F・GKチョン
ソンリョンのセーブに遭い同点ゴールとはならず。逃げ切りたい川崎Fは86分に旗手を下げ車屋、89分には大島を下げ脇坂を投入。最後までゴールを目指すガンバは90分、宇佐美が右サイド深く切り込みクロスを上げると、チョン
ソンリョンにパンチングでクリアされるが、そのボールに福田が詰める。しかしシュートを抑えることはできずにゴール枠上へ。アディショナルタイムにはDF三浦を最前線に上げ、同点ゴールを狙うが最後まで川崎Fゴールをこじ開けることはできずに試合終了。天皇杯のタイトルを懸け川崎Fに挑んだ戦いは惜しくも敗戦。第100回目の天皇杯は準優勝で幕を閉じ、2015年以来となるタイトル獲得とはならなかった。
[ 宮本 恒靖監督 ]
−−今日はしっかりと守って最少失点に抑えて最後は猛攻という形でしたが、ゲームプランどおりだったのでしょうか、それとももう少しこうしたかったということはありましたか。
ゲームプランとしては少し守備を意識した中で、ボールを奪ってから速く攻める部分ともちろん、自分たちでボールを持つ時間を作りながら攻め込むというところ、2つをイメージした中でプランは作っていました。もちろん、勝負どころではシステムも含めて攻撃的なものを出しながら、相手を上回るような展開に持っていくというところはありました。前半、少し攻められたので、そこに関しては受ける時間が長かったと思いますけれども、後半に入ってもう少し勝負する時間が、後半の15分、20分ぐらいに来る、そこからというプランだったので、その前に点が入ってしまって、もちろんその後はもう、攻撃的に行かざるを得ないというような状況だったと思います。
−−攻撃的にいくというところで、4バックに変えて倉田
秋選手をボランチに、宇佐美 貴史選手を中盤に入れましたが、あの意図はどのようなものだったのでしょうか?
(矢島)慎也と秋が、守備の部分では横並びですけど、少し攻撃になると縦関係になって、貴史も中央に入って左サイドのスペースをうまく(福田)湧矢が突くというようなシーン、(小野瀬)康介に関しても同じく少し中に入ってきてパトリックと(渡邉)千真の近くでプレーをする、宇佐美
貴史が少し後ろで前を向いてプレーすることによってチャンスを作り出すというような意図はありました。
−−その中で後半の終盤はかなり攻勢でしたが、その中で川崎Fを相手に3試合ともに点を取れなかったというところで、足りなかったところを挙げるとすればどのような点でしょうか。
3試合それぞれ少し性格が違う試合で、夏場にわれわれのホームでやった試合に関しては前半、後半も含めてポゼッションで上回ることが多かったんですけど、この試合であったり、前回の試合に関して言うと、うまくあまりボールを持てなかったという印象はありますし、そういったところを改善する必要はあると思いますし、そういったことによって、われわれがチャンスにもつなげるシーンも増えると思うので、やはりそこら辺の正確性であったり、確実性を増やす部分に関しては、フロンターレと今年試合をする中では感じたところではあります。
[倉田 秋]
−−川崎Fと対戦して、肌で感じたものは?
強いは強かったですが、僕らも僕らの戦い方でしっかりとやれていた部分もあったので、最後押し込んだときに1点を取れれば(勝負は)まだ分からなかったと思います。
−−前半はかなり決定機を作られたが、失点ゼロで抑えた。ハーフタイムの時点ではある程度ゲームプランどおりだった?
そうですね、ある程度持たれることは想定済みだったので。でも最後のところで体を張るという今年やってきたことができていてゼロで抑えられたので、あの1点は仕方ないといえば仕方ないけど悔やまれますね。ただ川崎Fとの差はあったので、今季は終わりましたが来季に向けてその差を埋めることと、チームとしてもっと強くなっていかないといけないと思いましたね。
[東口 順昭]
−−前半を0−0で終えるというのはある程度狙いにしていたと思うが、あれだけ決定機を作られた中でのハーフタイムの感情は?
良い流れやと思いました。今季の自分たちの戦いを見ても、前半に失点すると難しい試合になるので、川崎Fに対しては0−0で折り返すのがマストだった。自分たちの流れかなと思っていました。
ー−宮本 恒靖監督は後半15分、20分ぐらいから攻撃にシフトすることを考えていたと話していたが、後半10分の失点が痛かった?
もちろん0−0で長くいけると一番良いんですけど、あれだけ受けてしまった。失点は前半にしていてもおかしくなかったですし、そういう中で後半の15分、20分ぐらいまではしっかりと耐えてカウンターというところしかなかった。でもそれがいまの自分たちの実力だし、川崎Fが上回ったところなので真摯に受け止めて、また来季はそこから盛り返せるようなサッカーをしたいと思います。
総評
Q「今日はしっかりと守って最小失点に抑えて最後は猛攻という形でしたが、ゲームプラン通りだったのでしょうか、それとも、もう少しこうしたかったということはありましたか。」
宮本監督「ゲームプランとしては少し守備を意識した中で、ボールを奪ってから速く攻める部分と、自分たちでボールを持つ時間を作りながら攻め込むというところ、2つをイメージした中でプランは作っていました。もちろん途中で勝負どころではシステムも含めて攻撃的なものを出しながら、相手を上回るような展開に持っていくというところはありました。前半、少し攻められたので、そこに関しては少し受ける時間が長かったかなと思いますけれども、後半に入ってもう少し勝負する時間が、後半の15分、20分ぐらいに来る、そこからというプランだったので、その前に点が入ってしまって、その後はもう、攻撃的に行かざるを得ないというような状況だったと思います。」
Q「攻撃的に行くというところで4バックに変えて倉田選手をボランチに、宇佐美選手を中盤に変えましたが、あの意図はどのようなものだったのでしょうか?」
宮本監督「慎也(矢島)と秋(倉田)が守備の部分では横並びですけど、少し攻撃になると縦関係になって、貴史(宇佐美)も中央に入って来る、左サイドのスペースを上手く湧矢(福田)が突くというようなシーン、康介(小野瀬)に関しても同じく少し中に入ってきてパトリックと千真(渡邉)の近くでプレーをする、貴史が少し後ろで前を向いてプレーすることによってチャンスを作り出すというような意図はありました。
Q「その中で後半の終盤はかなり攻勢でしたが、その中で川崎相手に3試合ともに点を取れなかったというところで、足りなかったところをあげるとすればどのような点でしょうか。」
宮本監督「3試合それぞれ少し性格が違う試合で、夏場の試合に関しては我々はホームでやった試合に関しては前半、後半も含めてポゼッションで上回ることが多かったんですけど、この試合であったり、前回の対戦に関して言うと、上手くあまりボールを持てなかったという印象はありますし、そういったところを改善する必要はあると思いますし、そういったことによって、我々がチャンスにもつなげるシーンも増えると思うので、やはりそこら辺の正確性であったり、確実性を増やす部分に関しては、フロンターレと今年試合をする中では感じたところではあります。」
Q「今日は5バック気味にスタートされる中で、前の組み合わせはパトリック選手と2シャドー的に宇佐美選手と倉田選手を置く形は今季あまりなかったと思いましたが、採用された理由はどのようなものだったのでしょうか。」
宮本監督「相手のシステムとのミスマッチであったり、ボールを奪ってから速く攻め切る部分のコンビネーションというか、そこら辺の質も考えた中での組み合わせでしたし。立ち上がりは上手く行った部分もあったと思うんですけど、前半の途中から少し受ける時間が長くて、もう少しボールに対する守備というものであったり、ボールを持つ時間を長くするということが必要だったとは感じます。」
Q「そう言った意味で受ける時間が長くなってパトリック選手1人では前で収めにくいということもあり、後半から宇佐美選手と2トップ気味というか前に収めどころを増やすという狙いもあっての後半の最初だったと思いますが、その点は修正されたところだったのでしょうか。」
宮本監督「そうですね。はい。」
Q「宮本監督は常々、『川崎が今年1番強かったチーム』とおっしゃっていた中で、リーグ戦と天皇杯で悔しい思いをされましたが、改めて今のメンバーで川崎を超えないとタイトルは取れないと思うのですが、現状言える範囲で、川崎を超えるために必要な点をどのように感じていらっしゃいますか。」
宮本監督「守備で失点をしないところもそうですけど、やはり攻撃のところでもっと高めないといけないですし、球際の重さの部分も今日に関しては相手の方に分があったと思いますし、そう言った部分でもう一段階、二段階高いものを作り上げて行かないと、やはり今年感じたものを超えるところにはつながっていかないと思うので、来シーズンに関しては、そういったところをレベルアップさせなきゃいけないと感じました。」